全国初の「歩きスマホ規制条例」制定へ …「罰則なし」で効果あるの? 神奈川県大和市

全国初の「歩きスマホ規制条例」制定へ …「罰則なし」で効果あるの? 神奈川県大和市

「歩きスマホ」の防止に特化した全国で初の条例案が成立することになりそうだ。

道路や駅のホームなどで「歩きスマホ」をする人が後を絶たないが、これに対する規制はない。自動車やバイク、自転車の運転中にスマホを操作する行為は道路交通法で規制の対象となっているが、歩きスマホは規制の対象外だ。

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そんな中、神奈川県大和市が公共の場所における歩きスマホを防止する条例を制定する方針を決め、3月16日から4月14日までパブリックコメントで意見を募った。

市は6月におこなわれる市議会第2回定例会に条例案を提出し、7月に条例を公布・施行する予定だ。

●「歩きスマホは道路交通法の規制の対象外」

歩きスマホについて条例で定めるのは、大和市が初めてではない。たとえば「京都府交通安全基本条例」では「歩行者の責務」として、交通ルールを守るとともに、歩きスマホなど、道路交通に危険を生じさせないように努めなければならないとしている。

しかし、歩きスマホのみに特化した条例はなく、大和市の試みは全国初となる。条例案では、歩きスマホを防止することを努力義務とし、罰則は設けない。

条例を検討したのは、歩きスマホが道路交通法の規制の対象外となっているためだと市の担当者は説明する。

担当者によると、10人からパブリックコメントが寄せられた。9人が条例の制定に賛成だったが、中には「(違反者から)罰金をとるべきではないか」という意見もあったという。

「あくまで交通事故の防止が目的なので、現時点では罰則を設けることは考えていません。

まずは啓発から始めていこうと思いました。条例を制定することで、市民に歩きスマホに対する関心を持っていただければと考えています」(担当者)

●市民に課される「努力義務」…実効性は?

大和市による「歩きスマホの防止に関する条例」の制定について、泉田健司弁護士はつぎのように語る。

「歩きスマホが、その人自身の安全や他の人へ迷惑になるということが社会的に浸透してきたことから、このような条例が制定されるのも自然の流れといえるでしょう。

ただし、この条例は、市民に努力義務を課すだけのものなので、違反しても何もなく、実効性があまりないようにも思えます。

条例案では、市が歩きスマホを減らすような施策(情報収集や啓発活動等)をすることも規定されていますが、はたしていかほどのものかという感じもします。

しかし、スマホはあらゆる人の活動を支えており、憲法が保障するさまざまな人権にもかかわっています。電話やメールは他者と通信する自由、SNSへの投稿は表現の自由、情報サイトの閲覧は知る権利。すごいツールです。

このような人の生活に密着にかかわっているツールであるがゆえに、その制限には慎重さが求められます。ですから、罰則まで規定できなかったという側面がありそうです」

●ごく低額の過料を徴収するという方法も

自動車や自転車などを運転しながらスマホを使う「ながら運転」には、罰則がある。歩きスマホと「ながら運転」は何が違うのだろうか。

「『ながら運転』については、道路交通法の改正により2019年12月1日から罰則が強化され、6月以下の懲役または10万円以下の罰金(道路交通法118条1項3号の2、同71条5号の5)の刑事罰のほか、反則金や違反点数が定められています。

やはり、歩きスマホと違って、『ながら運転』は死亡事故に直結するなど、危険性が高いといえます。そのため、このような罰則付きの制限も正当化されるでしょう」

路上喫煙などに対しては、罰則つきの条例を定める自治体もある。泉田弁護士の事務所がある大阪府堺市では、特に人通りの多い地域に限定し、路上喫煙と空き缶のポイ捨ての違反者に対し、1000円の過料を徴収しているという。

「歩きスマホに関しても、人通りの多い地域に限定し、ごく低額の過料を徴収するくらいしてもいいかもしれません。なにも歩きながらまでスマホを操作しなくてもいいわけです。

とはいえ、ポケモンを探している人と、極度の方向音痴でスマホの地図とにらめっこしながら歩いている人は困るかもしれませんね」

【取材協力弁護士】
泉田 健司(いずた・けんじ)弁護士
大阪弁護士会所属。大阪府堺市で事務所を構える。交通事故、離婚、相続等を中心に地域一番の正統派事務所を目指す。コロナ関連のビデオ通話、電話相談をおこなっている。詳細はブログ(https://ameblo.jp/izuta-law/)へ。
事務所名:泉田法律事務所
事務所URL:http://izuta-law.com/ 弁護士ドットコムニュース編集部

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